FINANCIAL STATEMENTS TEXTBOOK
決算書を読む 7 章と、数字を投資判断に変える 5 章
Part 1(CH1〜CH7)で B/S・P/L・C/S・分析・企業価値を「読み方順」に整理。
Part 2(CH8〜CH12)で読んだ数字を実際の投資判断に変える実務を扱います。
各章の本文に 確認クイズ をインラインで埋め込み、読みながら理解度を確かめられます。
ピンポイントで論点を解きたい場合は クイズ目次(54 トピック / 984 問) へ。
PART 1
決算書を読む
B/S・P/L・C/S の役割から、分析指標・企業価値まで。読み方の認知順序で 7 章。
- CH01
決算書とは何か
会社を「数字」で語る共通言語
会社の活動を会計のルールに従って数字に翻訳したものが決算書です。投資家・銀行・取引先・従業員・税務当局 ── 立場の違う相手に「同じ言葉」で会社の姿を伝えるための共通言語。この章では決算書が何を映すのか、会社を分析するときに最初に押さえる B/S・P/L・C/S の役割はそれぞれどう違うのか、を整理します。
- 決算書とは「数字の翻訳」
- 誰が、なぜ読むのか
- 数字に翻訳する「ルール」
- 分析で最初に押さえる 3 つの決算書
- 3 つは補完しあう関係
- CH02
見る前の準備
連結・上場非上場・会計基準 ── 読み始める前提
同じ「決算書」と呼ばれるものでも、対象の範囲(単体か連結か)・適用される会計ルール(日本基準・米国基準・IFRS)・開示の厚みは会社によって違います。誤った前提で数字を比べると結論を見誤る。この章では、決算書を本格的に読み始める前に押さえておきたい 3 つの前提を整理します。
- 連結で見る ── グループ全体の姿
- 上場と非上場 ── 開示と監査の厚みの差
- 日本基準・米国基準・IFRS
- 比較する前に揃える 3 つの軸
- CH03
B/S で「体力」を見る
一定時点の財政状態 ── 資産・負債・純資産の構造
貸借対照表(B/S)は、ある一時点の会社の「財政状態」を 1 枚にまとめた表です。左側に資産、右側に負債と純資産。左右が必ず一致するから Balance Sheet と呼ばれます。この章では、流動/固定の分け方、業種ごとに B/S の形が大きく違う理由、純資産から読み解く「会社の体力」の見方までを通します。
- B/S の全体像 ── 左右が必ず一致する
- 流動と固定の分かれ目
- 流動資産・固定資産の中身
- 業種で B/S の形は変わる
- 負債と純資産 ── 他人資本 vs 自己資本
- のれん・減損・繰延税金 ── B/S の数字と実態の差
- B/S では分からないこと(注記・オフバランス)
- CH04
P/L で「稼ぐ力」を見る
一定期間の経営成績 ── 5 段階利益と利益率
損益計算書(P/L)は、一定期間にどれだけ稼いだかを示す成績表です。一気に「利益はいくら」と出すのではなく、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・当期純利益の 5 段階に区切って、どの段階で何が起きたかを浮き彫りにします。この章では 5 段階利益の意味・売上計上のタイミング・会計方針の選択が利益に与える影響まで通します。
- 5 段階利益 ── どこで何が起きたかを見える化
- 売上高と売上原価 ── 本業の基礎体力
- 販管費と営業利益
- 営業外損益と特別損益
- 税金と当期純利益
- 売上計上タイミングと会計方針の選択
- 実例で読む ── オペレーティング・レバレッジ
- B/S と P/L をつなげて読む ── 業種別総合判断
- CH05
C/S で「現金力」を見る
キャッシュの動き ── 営業・投資・財務の 3 区分
P/L は会計ルールで計算された利益、C/S は実際に動いた現金。利益が出ていても現金が回らないと会社は倒れます(黒字倒産)。キャッシュフロー計算書は現金の動きを「営業・投資・財務」の 3 区分に整理して、利益と現金の差・自由に使えるお金(FCF)・会社のステージを浮き彫りにします。
- 利益と現金は別物 ── C/S の存在意義
- 営業・投資・財務の 3 区分
- 直接法と間接法
- フリーキャッシュフロー(FCF)
- CF パターンで会社のステージを読む
- 実例で読む C/S
- CH06
分析 — 動きを見る
収益性・成長性・安全性・生産性 ── 比較で会社を読む
決算書 1 期だけを見ても会社の評価はできません。前期との比較・5 期分のトレンド・同業他社との比較 ── 軸を揃えた比較で初めて「強み」「弱み」「方向性」が浮かび上がります。この章では収益性・効率性・安全性・成長性・生産性の 5 軸と、ROE をデュポン分解する考え方までを通します。
- 決算書を読んで何が分かるか ── 分析の 4 軸
- 比較の 3 軸 ── 前期・5 期・同業他社
- 収益性 ── 利益率と ROE/ROA
- デュポン分解で ROE を 3 要素に
- 効率性 vs 利幅 ── 業態で違う戦略
- 生産性 ── 1 人当たりの数字
- 安全性と成長性 ── 倒産しないか・伸びているか
- CH07
企業価値 — 値段をつける
有報・PER/PBR・EV/EBITDA・DCF ── 投資家の物差し
「この会社、いくらで買えるか/いくらで売れるか」── 投資家・M&A の現場で使われる物差しを押さえます。株式マーケットの PER と PBR、買収価格のベンチマークになる EV/EBITDA、将来 CF を割り引く DCF 法、比較会社の倍率を使うマルチプル法。本書の総まとめとして、決算書から企業価値へつながる視点を整理します。
- 有報の構成 ── 決算書 + 経営の言葉
- PER と PBR ── 株主目線の物差し
- PBR = PER × ROE の関係
- EV/EBITDA ── 会社を丸ごと買う物差し
- DCF 法 ── 将来 FCF を現在価値に割引く
- マルチプル法 ── 比較会社の倍率を使う
- 投資家の目線で全体をまとめる
PART 2
数字を投資判断に変える
Part 1 で読んだ決算書を、実際の投資判断・銘柄選定・ポートフォリオ設計に活かす 5 章。
- CH08
数字を投資判断に変える入口
現金・期待差・性格・余白・配分・環境 ── 6 つの判断軸
決算書の数字は、読むだけでは投資判断になりません。本章は Part 2 の入口として、個別銘柄の深掘りに入る前に押さえておきたい 6 つの判断軸を整理します。利益ではなく現金から確認する、決算発表は期待との差で読む、会社の性格と保有期間をそろえる、価格に余白を持たせる、1 銘柄の正しさより配分で守る、相場環境を前提条件として読む ── どの章でも繰り返し戻ってくる「判断の共通言語」です。
- 利益ではなく現金から確認する
- 決算発表を「期待との差」で読む
- 会社の性格と保有期間をそろえる
- 価格に余白を持たせる
- 1 銘柄の正しさより配分で守る
- 相場環境を前提条件として読む
- CH09
銘柄を選ぶ — 決算書から候補を絞る
事業理解・キャッシュ品質・モメンタム・性格別指標・運用フロー
個別銘柄の選定では、ニュースの勢いではなく、事業理解・現金創出力・四半期モメンタムを順番に確認します。最初に「何で稼ぐ会社か」を一文で言える状態を作り、5 期営業 CF と純利益の関係でふるいにかけ、四半期決算でモメンタムを確認し、会社の性格に応じて見るべき指標を切り替え、最後に候補リストを更新する仕組みを作る ── ここまで通せば、急騰のニュースに反射で買わずに済みます。財務諸表分析を、銘柄選定の実務手順に変換する章です。
- まず「何で稼ぐ会社か」を一文で言う
- 営業 CF と利益の質で候補をふるいにかける
- 四半期決算でモメンタムを確認する
- 成長企業と安定企業で見る数字を変える
- 候補リストを更新する仕組みを作る
- CH10
時系列で読む — 5 期の変化から会社の癖をつかむ
5 期トレンド・業界 KPI・マクロ感応 ── 単年度では見えない性格を読む
同じ会社でも、単年度の決算だけ見ると印象が大きくぶれます。売上が伸びた 1 年だけを切り出せば成長企業に見えるし、利益が縮んだ 1 年だけを切り出せば構造不振に見える。5 期分を並べて初めて、シクリカルな「波」なのか、構造的な「下り坂」なのかが判別できます。本章では半導体装置・地方銀行という業種・マクロ感応度の違う会社を素材に、5 期トレンド・業界 KPI・マクロ指標との連動・トレンドが崩れたサインの 4 つを実際のデータで読みます。
- 5 期並べると単年度の印象が変わる
- 売上成長と利益率を同時に見る
- 業界 KPI で会社ごとの勝ち筋を比べる
- 金利・為替・市況が数字に出る業種を読む
- トレンドが崩れたサインを見つける
- CH11
ポートフォリオを設計する — 分散と制度を使って続ける
配分・3 軸分散・コア/サテライト・新 NISA ── 個別株を超えた全体設計
個別銘柄を選ぶときは、事業内容・現金創出力・5 期トレンド・四半期決算を読みます。本章では視点をひと回り広げ、保有全体の設計(ポートフォリオ)でリスクをコントロールする段階に進みます。1 銘柄ごとの判断がどれだけ正しくても、不祥事・業績下方修正・規制変更を完全に予測することはできません。だから「個別の見立てが外れても資産全体は深刻なダメージを負わない」配分の設計が次に必要になります。本章では業種・地域・サイズの 3 軸分散、インデックスの中身、攻めと守りの比率、新 NISA(2024 年〜)の使い方、フォローできる銘柄数の上限を、ひとつの運用フローとして組み立てます。
- 1 銘柄の判断から全体設計へ移る
- 銘柄数ではなくリスクの種類を分ける
- インデックスの中身を確認する
- 攻める資産と守る資産を分ける
- 新 NISA は枠ではなく運用方針から使う
- 決算フォローできる数に収める
- CH12
買う・持つ・売る — 判断を更新する技術
仮説の事前文字化・バリュエーション規律・決算後の更新・売却理由 3 分類・判断メモのループ
現金創出力、期待差、5 期トレンド、ポートフォリオ配分を、ここで「買う・持つ・売る」の更新サイクルに束ねます。買う前に何が正しければ持つか・何が起きたら売るかを文字化し、過去 PER レンジと同業中央値で買値の規律を作り、四半期決算で仮説を更新し、相場急変時のルールを平時に決めておく。売る理由は「仮説崩れ」「割高化」「入替」の 3 種類に分類し、判断メモを 5 ステップで回し続ける ── 勝つ投資家ではなく、続けられる投資家になるための仕組みを扱う章です。
- 買う前に「何が正しければ持つか」を決める
- バリュエーションは過去レンジと同業で見る
- 決算後に仮説を更新する
- 相場急変時にやることを決めておく
- 売る理由を 3 種類に分ける
- 判断メモで自分の癖を修正する