PART 1

決算書を読む

B/S・P/L・C/S の役割から、分析指標・企業価値まで。読み方の認知順序で 7 章。

  1. CH01

    決算書とは何か

    会社を「数字」で語る共通言語

    会社の活動を会計のルールに従って数字に翻訳したものが決算書です。投資家・銀行・取引先・従業員・税務当局 ── 立場の違う相手に「同じ言葉」で会社の姿を伝えるための共通言語。この章では決算書が何を映すのか、会社を分析するときに最初に押さえる B/S・P/L・C/S の役割はそれぞれどう違うのか、を整理します。

    1. 決算書とは「数字の翻訳」
    2. 誰が、なぜ読むのか
    3. 数字に翻訳する「ルール」
    4. 分析で最初に押さえる 3 つの決算書
    5. 3 つは補完しあう関係
    ⏱ 読了目安 18 分 📚 関連クイズ集 33 問 (2 トピック、章内には抜粋を掲載)
  2. CH02

    見る前の準備

    連結・上場非上場・会計基準 ── 読み始める前提

    同じ「決算書」と呼ばれるものでも、対象の範囲(単体か連結か)・適用される会計ルール(日本基準・米国基準・IFRS)・開示の厚みは会社によって違います。誤った前提で数字を比べると結論を見誤る。この章では、決算書を本格的に読み始める前に押さえておきたい 3 つの前提を整理します。

    1. 連結で見る ── グループ全体の姿
    2. 上場と非上場 ── 開示と監査の厚みの差
    3. 日本基準・米国基準・IFRS
    4. 比較する前に揃える 3 つの軸
    ⏱ 読了目安 20 分 📚 関連クイズ集 53 問 (3 トピック、章内には抜粋を掲載)
  3. CH03

    B/S で「体力」を見る

    一定時点の財政状態 ── 資産・負債・純資産の構造

    貸借対照表(B/S)は、ある一時点の会社の「財政状態」を 1 枚にまとめた表です。左側に資産、右側に負債と純資産。左右が必ず一致するから Balance Sheet と呼ばれます。この章では、流動/固定の分け方、業種ごとに B/S の形が大きく違う理由、純資産から読み解く「会社の体力」の見方までを通します。

    1. B/S の全体像 ── 左右が必ず一致する
    2. 流動と固定の分かれ目
    3. 流動資産・固定資産の中身
    4. 業種で B/S の形は変わる
    5. 負債と純資産 ── 他人資本 vs 自己資本
    6. のれん・減損・繰延税金 ── B/S の数字と実態の差
    7. B/S では分からないこと(注記・オフバランス)
    ⏱ 読了目安 35 分 📚 関連クイズ集 245 問 (13 トピック、章内には抜粋を掲載)
  4. CH04

    P/L で「稼ぐ力」を見る

    一定期間の経営成績 ── 5 段階利益と利益率

    損益計算書(P/L)は、一定期間にどれだけ稼いだかを示す成績表です。一気に「利益はいくら」と出すのではなく、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・当期純利益の 5 段階に区切って、どの段階で何が起きたかを浮き彫りにします。この章では 5 段階利益の意味・売上計上のタイミング・会計方針の選択が利益に与える影響まで通します。

    1. 5 段階利益 ── どこで何が起きたかを見える化
    2. 売上高と売上原価 ── 本業の基礎体力
    3. 販管費と営業利益
    4. 営業外損益と特別損益
    5. 税金と当期純利益
    6. 売上計上タイミングと会計方針の選択
    7. 実例で読む ── オペレーティング・レバレッジ
    8. B/S と P/L をつなげて読む ── 業種別総合判断
    ⏱ 読了目安 40 分 📚 関連クイズ集 207 問 (11 トピック、章内には抜粋を掲載)
  5. CH05

    C/S で「現金力」を見る

    キャッシュの動き ── 営業・投資・財務の 3 区分

    P/L は会計ルールで計算された利益、C/S は実際に動いた現金。利益が出ていても現金が回らないと会社は倒れます(黒字倒産)。キャッシュフロー計算書は現金の動きを「営業・投資・財務」の 3 区分に整理して、利益と現金の差・自由に使えるお金(FCF)・会社のステージを浮き彫りにします。

    1. 利益と現金は別物 ── C/S の存在意義
    2. 営業・投資・財務の 3 区分
    3. 直接法と間接法
    4. フリーキャッシュフロー(FCF)
    5. CF パターンで会社のステージを読む
    6. 実例で読む C/S
    ⏱ 読了目安 25 分 📚 関連クイズ集 110 問 (6 トピック、章内には抜粋を掲載)
  6. CH06

    分析 — 動きを見る

    収益性・成長性・安全性・生産性 ── 比較で会社を読む

    決算書 1 期だけを見ても会社の評価はできません。前期との比較・5 期分のトレンド・同業他社との比較 ── 軸を揃えた比較で初めて「強み」「弱み」「方向性」が浮かび上がります。この章では収益性・効率性・安全性・成長性・生産性の 5 軸と、ROE をデュポン分解する考え方までを通します。

    1. 決算書を読んで何が分かるか ── 分析の 4 軸
    2. 比較の 3 軸 ── 前期・5 期・同業他社
    3. 収益性 ── 利益率と ROE/ROA
    4. デュポン分解で ROE を 3 要素に
    5. 効率性 vs 利幅 ── 業態で違う戦略
    6. 生産性 ── 1 人当たりの数字
    7. 安全性と成長性 ── 倒産しないか・伸びているか
    ⏱ 読了目安 38 分 📚 関連クイズ集 220 問 (12 トピック、章内には抜粋を掲載)
  7. CH07

    企業価値 — 値段をつける

    有報・PER/PBR・EV/EBITDA・DCF ── 投資家の物差し

    「この会社、いくらで買えるか/いくらで売れるか」── 投資家・M&A の現場で使われる物差しを押さえます。株式マーケットの PER と PBR、買収価格のベンチマークになる EV/EBITDA、将来 CF を割り引く DCF 法、比較会社の倍率を使うマルチプル法。本書の総まとめとして、決算書から企業価値へつながる視点を整理します。

    1. 有報の構成 ── 決算書 + 経営の言葉
    2. PER と PBR ── 株主目線の物差し
    3. PBR = PER × ROE の関係
    4. EV/EBITDA ── 会社を丸ごと買う物差し
    5. DCF 法 ── 将来 FCF を現在価値に割引く
    6. マルチプル法 ── 比較会社の倍率を使う
    7. 投資家の目線で全体をまとめる
    ⏱ 読了目安 35 分 📚 関連クイズ集 134 問 (7 トピック、章内には抜粋を掲載)

PART 2

数字を投資判断に変える

Part 1 で読んだ決算書を、実際の投資判断・銘柄選定・ポートフォリオ設計に活かす 5 章。

  1. CH08

    数字を投資判断に変える入口

    現金・期待差・性格・余白・配分・環境 ── 6 つの判断軸

    決算書の数字は、読むだけでは投資判断になりません。本章は Part 2 の入口として、個別銘柄の深掘りに入る前に押さえておきたい 6 つの判断軸を整理します。利益ではなく現金から確認する、決算発表は期待との差で読む、会社の性格と保有期間をそろえる、価格に余白を持たせる、1 銘柄の正しさより配分で守る、相場環境を前提条件として読む ── どの章でも繰り返し戻ってくる「判断の共通言語」です。

    1. 利益ではなく現金から確認する
    2. 決算発表を「期待との差」で読む
    3. 会社の性格と保有期間をそろえる
    4. 価格に余白を持たせる
    5. 1 銘柄の正しさより配分で守る
    6. 相場環境を前提条件として読む
    ⏱ 読了目安 32 分 📚 関連クイズ集 40 問 (9 トピック、章内には抜粋を掲載)
  2. CH09

    銘柄を選ぶ — 決算書から候補を絞る

    事業理解・キャッシュ品質・モメンタム・性格別指標・運用フロー

    個別銘柄の選定では、ニュースの勢いではなく、事業理解・現金創出力・四半期モメンタムを順番に確認します。最初に「何で稼ぐ会社か」を一文で言える状態を作り、5 期営業 CF と純利益の関係でふるいにかけ、四半期決算でモメンタムを確認し、会社の性格に応じて見るべき指標を切り替え、最後に候補リストを更新する仕組みを作る ── ここまで通せば、急騰のニュースに反射で買わずに済みます。財務諸表分析を、銘柄選定の実務手順に変換する章です。

    1. まず「何で稼ぐ会社か」を一文で言う
    2. 営業 CF と利益の質で候補をふるいにかける
    3. 四半期決算でモメンタムを確認する
    4. 成長企業と安定企業で見る数字を変える
    5. 候補リストを更新する仕組みを作る
    ⏱ 読了目安 28 分 📚 関連クイズ集 20 問 (4 トピック、章内には抜粋を掲載)
  3. CH10

    時系列で読む — 5 期の変化から会社の癖をつかむ

    5 期トレンド・業界 KPI・マクロ感応 ── 単年度では見えない性格を読む

    同じ会社でも、単年度の決算だけ見ると印象が大きくぶれます。売上が伸びた 1 年だけを切り出せば成長企業に見えるし、利益が縮んだ 1 年だけを切り出せば構造不振に見える。5 期分を並べて初めて、シクリカルな「波」なのか、構造的な「下り坂」なのかが判別できます。本章では半導体装置・地方銀行という業種・マクロ感応度の違う会社を素材に、5 期トレンド・業界 KPI・マクロ指標との連動・トレンドが崩れたサインの 4 つを実際のデータで読みます。

    1. 5 期並べると単年度の印象が変わる
    2. 売上成長と利益率を同時に見る
    3. 業界 KPI で会社ごとの勝ち筋を比べる
    4. 金利・為替・市況が数字に出る業種を読む
    5. トレンドが崩れたサインを見つける
    ⏱ 読了目安 30 分 📚 関連クイズ集 125 問 (7 トピック、章内には抜粋を掲載)
  4. CH11

    ポートフォリオを設計する — 分散と制度を使って続ける

    配分・3 軸分散・コア/サテライト・新 NISA ── 個別株を超えた全体設計

    個別銘柄を選ぶときは、事業内容・現金創出力・5 期トレンド・四半期決算を読みます。本章では視点をひと回り広げ、保有全体の設計(ポートフォリオ)でリスクをコントロールする段階に進みます。1 銘柄ごとの判断がどれだけ正しくても、不祥事・業績下方修正・規制変更を完全に予測することはできません。だから「個別の見立てが外れても資産全体は深刻なダメージを負わない」配分の設計が次に必要になります。本章では業種・地域・サイズの 3 軸分散、インデックスの中身、攻めと守りの比率、新 NISA(2024 年〜)の使い方、フォローできる銘柄数の上限を、ひとつの運用フローとして組み立てます。

    1. 1 銘柄の判断から全体設計へ移る
    2. 銘柄数ではなくリスクの種類を分ける
    3. インデックスの中身を確認する
    4. 攻める資産と守る資産を分ける
    5. 新 NISA は枠ではなく運用方針から使う
    6. 決算フォローできる数に収める
    ⏱ 読了目安 32 分 📚 関連クイズ集 20 問 (4 トピック、章内には抜粋を掲載)
  5. CH12

    買う・持つ・売る — 判断を更新する技術

    仮説の事前文字化・バリュエーション規律・決算後の更新・売却理由 3 分類・判断メモのループ

    現金創出力、期待差、5 期トレンド、ポートフォリオ配分を、ここで「買う・持つ・売る」の更新サイクルに束ねます。買う前に何が正しければ持つか・何が起きたら売るかを文字化し、過去 PER レンジと同業中央値で買値の規律を作り、四半期決算で仮説を更新し、相場急変時のルールを平時に決めておく。売る理由は「仮説崩れ」「割高化」「入替」の 3 種類に分類し、判断メモを 5 ステップで回し続ける ── 勝つ投資家ではなく、続けられる投資家になるための仕組みを扱う章です。

    1. 買う前に「何が正しければ持つか」を決める
    2. バリュエーションは過去レンジと同業で見る
    3. 決算後に仮説を更新する
    4. 相場急変時にやることを決めておく
    5. 売る理由を 3 種類に分ける
    6. 判断メモで自分の癖を修正する
    ⏱ 読了目安 32 分 📚 関連クイズ集 22 問 (5 トピック、章内には抜粋を掲載)