仕訳はなぜ左と右に分かれるのか
簿記とは、つまるところ、モノの数え方の話です。
その歴史は古く、13世紀初頭に実務の中で誕生・発展してから現在に至るまで、経済活動の発展と共に広く世の中の人に知られ、数百年たった今でもなお、なくてはならないものです。
この章を読み終わるころには、以下の2つがざっくりとわかるようになります。
- なぜそもそも勘定は左と右にわかれるのか?
- なぜそもそも仕訳は左と右にわかれるのか?
これから2頭の羊が移動する様子を「3つの数え方」で数えていきます。
複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。
人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。
立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ
出所:ゲーテ Johann Wolfgang von Goethe (1747-1832) 「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」 岩波文庫 上巻 pp.55
まずは羊の移動を確認
まず先に、2頭の羊の移動する様子だけ、確認しましょう。
1. 一般的な数え方
最も一般的な数え方を確認します。羊が増えたり、減ったりしたとき、それに応じて、石の数も増やしたり、減らします。
2. 単式簿記の(勘定を使った)数え方
勘定を使えば、羊の移動記録を残すことができます。あらかじめ勘定の左と右で増加を記録する場所と減少を記録する場所を決めておき、羊が増えても減っても、石を加えていく数え方です。
3. 複式簿記の数え方
1つの移動に対して、同時に2つの石を使って記録していく方法です。自分の羊と他人の羊を区別できるように、さらに勘定を増やして数えるだけです。
実はこの石の置き方こそが「仕訳」に他なりません。仕訳としてみるとどうなるか確認してみましょう。
先人の工夫
残高だけを集計すれば、左側と右側の残高が一致していることが確認できます。
これこそが仕訳が左右に分かれる理由であり、先人の知恵です。
まとめ
なぜそもそも勘定は左と右にわかれるのか?
増加も減少もどちらも正の値で数えるためです。
なぜそもそも仕訳は左と右(複式)で数える必要があるのか?
資産について、それが「他人のもの」なのか、「自分のもの」なのかを区別し、記録が正確になされたことが残高試算表の左右の金額の一致で確認できるからです。
複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。
人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。
立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ
出所:ゲーテ Johann Wolfgang von Goethe (1747-1832) 「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」 岩波文庫 上巻 pp.55